性的少年 15 |
永嶋くんは僕の話が理解できないでいた。子供が生まれるまでのメカニズムを知らないんだから当然だ。僕は、子供の作り方にはいろんなバリエーションがあることを丁寧に説明した。ちんちんにも呼び名がたくさんあることを、自作の保健体育ノートをカバンから取り出して教えてあげた。ちんこ、ぽこちんは元より、肉棒、男根、息子などと呼ばれることを、そして女版ちんちんは、花びら、貝、蜜壷などと呼ばれることを。永嶋くんは僕の知識の豊富さにいたく感心していた。
永嶋くんが子供に見える。永嶋くんも僕を尊敬の眼差しで見ている。僕はまだまだこんなものじゃないよと思いながら、思いのたけをぶつけた。永嶋くんのお父さんが、永嶋くんのお母さんの手をひもでベッドにくくりつけたり、いい子がうまれるように火のついたろうそくを垂らしたり、ムチで叩いたり、もしかしたら忙しくて時間のないなか服を着たまま作ったかもしれないこと。永嶋くんを作るためにお父さんが心を鬼にして、嫌がっているお母さんを抑えつけて無理矢理作ったかもしれないこと。お母さんは「アハーン」とか「ウフーン」とか言いながら、苦しいのを我慢したこと。そうやってお父さんとお母さんが命がけで永嶋くんを作ったんだよ、って。そして、お母さんはものすごい痛みに耐えて永嶋くんを女版ちんちんから産んだこと。永嶋くんは目に涙をためて聞いていた。
「ね? だからさ、永嶋くんのお父さんとお母さんは、今はケンカをしているかもしれないけど、お互いを嫌いになることは絶対にないよ」
永嶋くんは涙をこらえるのに精一杯で、ただただうなずくだけだった。僕は永嶋くんの肩をたたいてあげた。
「ありがとう」
そう言って永嶋くんは公園をあとにした。はじめて永嶋くんに「ありがとう」って言われた。
家に帰り、永嶋くんに教えたことに間違いがないか教科書と参考書を見て確認しようと思い、お兄ちゃんの部屋に入った。今日はまだ帰ってきていない。教科書はすぐ見つかるのに、参考書がいつも見つからない。机の上に置いておいたのに、お兄ちゃんどこにしまったんだろう? ベッドの下にも本棚の奥にもない。どこだ? 周りを見回して、洋服ダンスが目に入った。引き出しから服がはみ出ていたので直そうと思い、一度開けた。しょうがないなあと思いながら服をたたみ直して閉まおうとしたら、服じゃないものがちらりと見えた。参考書だった。なんでこんなところにしまっているんだろう? 不思議なお兄ちゃんだなと思いながら、まだしばらくここにいても大丈夫そうだったので、その場でざーっと確認した。うん、間違いはなさそうだ。永嶋くんに教えたことは合っている。永嶋くん、元気になるといいな。僕は机の上に教科書と参考書を丁寧にそろえて、お兄ちゃんの部屋を出た。




















