性的少年 2 |
「じゃあねー」
「またねー」
かばんがひとつ減り、ふたつ減り。残念なことに僕の家は通り過ぎる。そこの路地を曲がればすぐなんだけど、一番家の遠い子まで付き合わないといけない。ちなみに僕は、今日だったら三番目に遠い子だった。でも家につくのは誰よりも遅くなる。
一番遠い子は永嶋くんだ。いつもなら、永嶋くんは二番目に遠い子が帰るとそそくさとかばんを僕からはぎ取り、いちもくさんに帰っていく。あまり僕といたくないらしい。一応、永嶋くんの姿が見えなくなるまでその場で待機しておく。でも今日はちょっとおかしい。永嶋くんが僕からランドセルをはぎ取らない。いつもならもう走り去る頃なのに。しばらく沈黙しながらふたりきりで並んで歩く。なにか話さなきゃ。永嶋くん、早く帰ってよ。早く僕を解放してよ。気まずいな。自分のランドセルは背中に、永嶋くんのは胸に背負いながら僕は緊張した。なんでなの!? 僕から話を切り出すのもなあ。永嶋くんはどういう気持ちなんだろう? まさか僕をぶっ飛ばすんじゃないか?
どうしよう。永嶋くんの少し右斜め後ろを歩く僕は、ちらっと様子を伺った。さっきまでの元気はどこへやら、永嶋くんはうつむいて真剣な顔をしている。やっぱりこの後、ぶっ飛ばされるのかな……。永嶋くんの気に障ることをなにかやっちゃったのかな。
緊張していろんな想像をしてしまっている中、永嶋くんが急に立ち止まり、おもむろに僕のほうへ振り返った。僕はうわっと声を上げてしまい、驚いたと同時に覚悟を決めて目をつぶり、歯をくいしばった。薄目で様子を伺いながら。
すると、永嶋くんの右手がバッと僕のほうへ飛んできた。僕は薄く開けた目を目一杯つぶり、痛くありませんようにと心の中で祈った。瞬間、胸に軽い衝撃が走った。それだけ。永嶋くんはランドセルを奪ってそのまま走り去っていった。いつものように、僕を振り返らなかった。
よくわからなかったけど、よかったよかった。でもなんだったんだろう。精神的に追い詰めるという新しい攻撃かな? まあいっか。
ひとりになり、たくさんのランドセルからも解放されて、本来背負うべきランドセルだけが僕の背中に残る。そしてUターンして家に帰る。到着するまでの時間も僕に幸せなひとときを与えてくれるんだ。
最初の頃は筋肉痛で体が痛かった。もうだいぶ慣れてきた。




















