第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話
かてきょ 8

  「さっきは200Xと80X、掛けちゃってごめんなさい」
  つよし君の健気な姿は小川先生の胸を打ち、うんこの一件は水に流れました。
  「ううん。今度はちゃんと引いて解くんだよ」
  「はい」
  素直な返事をして、つよし君はこの文章題を解き始めました。
  やはりつよし君は、優しくて素直でいい子です。…などと、今日もつよし君を何度褒めたかわかりません。しかし、その度ごとにつよし君に裏切られてきました。今度は何もないといいんですが。
  「えーと、200X―80X=720だから…。ねえかてきょ」
  おっと、そうもいかないようです。
  「今度はどうした?」
  「僕、このXっていうアルファベット、使いたくない」
  「え?」
  「Xの代りにYMCAを使いたい」
  「ねえ、つよし君、多いだろ。アルファベットは1文字でいいでしょ」
  「えーと、YMCA分後に追いつくとして、えーと、ここがこうで、200YMCA―80YMCA=720だから、えーと、120YMCA=720」
  「解きづらいでしょ? 一次方程式なのにすごく難しく見えるよ」
  つよし君は計算に夢中で聞いていません。

 「だめだこりゃ…」
小川先生は、アルファベットで埋まったつよし君のノートを、ただじっと眺めていました。

 

おわり



 前に戻る<<
オガノベルTOPへ戻る