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かてきょ 3

 「ええ!?」
  つよし君はびっくりしました。
  「A君も、A君のお父さんも本当にいるんだ!」
  「知らなかった…。実話だったんだ…」
  小川先生は、つよし君の胸ぐらから手を離し、大きく一息つきました。そして一点を見つめると、さらに驚くべきことを言いました。
  「A君とA君のお父さんはね、本当の親子じゃないんだ」
  「ええ!?」
  「A君のお母さんは、A君が幼い頃に離婚。そしてその六年後、この文章題に出てくるお父さんと再婚するんだ」
  つよし君は、この文章題に出てきた親子が複雑な家庭環境であることに、先生の話に聞き入っています。
  「でもA君はね、新しいお父さんになかなか心を開こうとしなかった。だけどお父さんは頑張った。できるだけA君と一緒にいる時間を増やして、一生懸命コミュニケーションを図ろうとした。A君の本当のお父さんになろうと頑張ったんだ。そしてある日、A君のお父さんは誕生日を迎えた。A君はお父さんにこう言うんだ。『あ、…お父さん、お誕生日おめでとう』。すると、『今、お父さんって、言ったのか?』って」
  「へー、いい話」
  つよし君は感動しました。先生は話を続けました。
  「A君は恥ずかしがっちゃって、『あ、いけね。俺まだプレゼント買ってねえや。ちょっと町まで行ってくる。行ってきまーす』って」
  「いい話~」
  いつしかつよし君も笑顔です。先生も笑顔で、
  「この話には続きがあるんだ」
  「あっ、この問2の問題だね、かてきょ」
  小川先生は、やさしく頷きました。
  さっきまでの険悪な雰囲気が嘘のようです。つよし君は目を輝かせて小川先生に聞きました。
  「ねえ、かてきょ。お父さんは何分後に追いついた? 何分後に追いついたの?」
  すると小川先生の顔が曇りました。別につよし君はこのどさくさに紛れて、問題の答えを聞いてしまおうなどと思ったのではありません。ただ純粋にこの親子がこのあとどうなったのかを知りたかったのです。それは小川先生もわかっていました。しかし、小川先生の顔はみるみる曇り、とうとうつよし君から目をそらしました。
  「かてきょ?」
  つよし君は心配そうに呼びかけました。先生は言いました。
  「追いつく、はずだったんだ…」
  「え?」
  つよし君は嫌な胸騒ぎがしました。



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