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ヒコウボーイ 5

 「正直にありのままを話せば、精神に異常があると思われて刑が軽くなるよ!」
  「そんなこと言ったって・・・。やだよそんなの」
  「だって北斗神拳使ったのは本当なんだから仕方ないじゃん。事実をうまく利用するんだよ」
  「無理だよ、俺が健康なのはすぐバレるよ」
  なかなか首を縦に振らないひろしに、岡崎はプレゼンを続けた。
  「いいか、ひろし。こんなことをしていつまでもシラを切れるわけないんだし、逃げても捕まるのは時間の問題だ」
  「でも俺捕まりたくないし・・・」
  岡崎のプレゼンは更に熱がこもった。
  「子供みたいなこと言うな。俺たちはもう高校生なんだ。自分のことは自分で責任取らなきゃいけないだろう」
  「だって俺まだ子供だもん」
  「都合のいい時だけ子供とか言うな」
  ひろしはぶーたれた。人を殺めてしまったわりには、とても可愛らしい反抗だった。しかしふくれっ面でフェイドアウトできるほど、ひろしの犯した罪は軽くはない。岡崎の言うことはもっともだ。ひろしはしばらく熟考したのち、開き直ったかのように一息ついた。
  「ふー。よし、わかったよ」
  「自首する気になったか?」
  「いや」
  そう言ってひろしはしゃがみ込み、横たえる母に近づいた。
  「何する気だよ?」
  「いや、北斗神拳てすごいからさ、母さんを元に戻せるんじゃないかなって」
  「ええ!?」
  驚きと呆れをない混ぜた岡崎を尻目に、ひろしは「北斗の拳」のページをめくり、パラパラと目を通していった。そして、にわか仕込みの北斗神拳に望みを託し、これだ、と思うページを見ながら、見よう見まねで息絶えている母に再び秘孔をついた。
  「あっ」
  淡い期待もむなしく、母は小爆発を起こして余計に細分化されただけだった。それもそうで、今、ひろしが見てたページは相手を破裂させる技であり、そもそも死んだ人間を蘇らせる技など原作に出てきてはいない。いよいよ万策が尽きた。
  「俺、警察に行って来るよ」
  やっとその気になってくれたか。そう思う間もなく、ひろしはとんでもないことを言い出した。
  「俺、警察相手に闘うよ!! 捕まる前に、こっちから仕掛けてやる!!」



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